特定調停の仕方と一般の調停

調停と任意整理の違い

 

任意整理は、公的機関を通さずに行う債務整理のことをいいます。債務者が債権者と交渉して合意に至れば、話し合った返済計画に基づいて返済していくことになります。本人が直接債権者と交渉するのは難しいので、通常は弁護士に依頼して進めていくことになります。

 

一方、調停による借金整理は、裁判所で調停委員会のあっせんにより、債務者と債権者が交渉して返済計画を立て、調停調書を作成して返済していく方法です。借金整理に関する知識がなくても、話し合いは裁判官や調停委員を交えて行われるので大丈夫です。解決のためのあっせんについては、調停委員会が解決案を提示してくれます。

 

本人で調停の申立てを行えば、任意整理で弁護士に依頼するよりも費用は安く済みます。債権者数が多い場合にはとくに有利でしょう。ただし、裁判所の手続きは本人が直接出向かなければなりません。債権者との合意も必須になります。

 

特定調停の手続き

 

調停の申立ては、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に「調停申立書」を提出します。特定調停の場合は、申立てるときに調停申立書に「特定調停手続きにより調停を行うことを求める」という記載をしていきます。

 

簡易裁判所には、特定調停用の申立書が用意されており、書き方についても解説文があるのでそれほど迷うことはありません。どうしても分からない場合は、窓口で相談してみましょう。

 

特定調停の内容

特定調停では、特定債務者の経済的再生のために、特定債務者と関係権利者について、以下の内容について調停が行われます。

 

  1. 金銭債務の内容の変更・・・元本の一部放棄、利息・損害金の減免、返済期間の変更など
  2. 担保関係の変更・・・担保権の一部放棄、担保不動産の差し替えなど
  3. その他の金銭債務に係る利害関係の調整・・・保有する不動産の処分、保証人の保証債務に関する調整など

 

借金返済の調停と特定調停の違い

 

申立人

特定調停:特定債務者(金銭債務を負っており経済的に破綻するおそれのある個人・法人)。
民事調停:サラ金・クレジットなどの多重債務者。

 

申立て方法

特定調停:申立時に特定調停手続きによる調停を求める旨の申述をする。財産状況を示す明細書の提出が必須。
民事調停:申立の際に調査票等の提出を求められる。

 

申立てる裁判所

特定調停:原則として、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所
民事調停:上に同じ。

 

民事執行手続きの停止

特定調停:1.特定調停の円滑な進行を妨げるおそれがあるとき。2.無担保での停止も可能。3.裁判所が作成した債務名義に基づく強制執行も執行停止の対象となる。
民事調停:1.調停の成立を不能または著しく困難にするおそれがあるとき。2.担保の提供が必要。3.裁判所が作成した債務名義に基づく強制執行は執行停止の対象とならない。

 

利害関係者の調停手続きへの参加

特定調停:調停委員会の許可を必要としない。
民事調停:調停委員会の許可が必要。

 

当事者の債務

特定調停:申立人・相手方双方が、債権・債務の発生原因、弁済状況などについて明らかにする義務がある。

 

文書等の提出

特定調停:調停委員会は必要な書類の提出を求めることができ、正当な理由なく応じない場合は過料が科される。
民事調停:文書の提出を求めることができるが、提出しない者に対する制裁はない。

 

職権調査

特定調停:調停委員会は職権で証拠調べをすることができる。

 

官庁からの意見聴取

特定調停:意見を求めることができる。

 

調停の内容

特定調停:公正かつ妥当で経済的合理性を有するものであることが必要。
民事調停:相当なものであればよい。

 

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