PCB(ポリ塩化ビフェニル)による環境リスク

PCB(ポリ塩化ビフェニル)による環境リスク

PCB(ポリ塩化ビフェニル)の特性と危険性

 

PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、絶縁性や不燃性に優れた効果を持っている物質で、電気機器の内部絶縁油や感圧複写紙、塗料など幅広い用途に使われてきました。また、古い建築物では屋上の高圧受電設備にPCB製品が使われていたり、PCB廃棄物が保管されている場合もあります。

 

 

しかし、PCBの毒性が明らかとなり、日本では1974年に製造・輸入・使用が原則禁止となりました。環境での残留性も高く、人体や生態系に有害な化学物質として国際的に除去・廃絶への取り組みがなされています。多くのPCB製品は回収されていますが、一部では現在も使用されています。PCB製品の管理・保管・処理には、かなりの経済的な負担がかかってしまいます。

 

 

PCB廃棄物については、安全に処分するような体制が整わなかったために、保有者の責任で保管する状況が長く続いていました。PCB廃棄物の本格的な処理は、2001年の「PCB特別措置法」の制定からようやく始まっています。

 

 

PCB廃棄物は譲渡できない

 

PCB廃棄物については、PCB特別措置法で譲渡できないことが定められています。PCB廃棄物を保管している不動産の所有者は、不動産を売却した後も処理が完了するまで場所を確保して保管する義務を負っています。

 

 

これから取得予定の不動産にPCB廃棄物が発見された場合は、売主に対して当該物件以外の場所に移設するよう要請することができます。なお、PCB廃棄物の保管にあたっては、保管する施設ごとに管理者を選任して届けるなどの厳重な管理が必要になります。

 

 

トランス(変圧器)などの使用中の機器に、PCBが含まれている絶縁油が使われているかどうかを調べるには、機器の製造年月日や形式をもとにして、メーカーなどで確認できます。場合によっては、電気主任技術者などの専門家に任せるのが良いでしょう。

 

 

PCB使用機器を継続して使用する場合には、厳重な管理が求められています。地域によって規定は多少異なりますが、使用の届出や使用状況の報告を毎年義務付けられます。使われている電気機器に微量のPCBが混入している可能性のある場合、廃棄する際にはPCB混入の有無を確認しなければなりません。PCB混入が確認されれば、法規に基づいて適正な管理が求められます。

 

 

取得予定の不動産にPCB使用機器があることが判明している場合、または疑わしい場合は、管理・保管・処理に関する費用の負担について、売買契約に明記しておくと後からトラブルが少なくなります。

 

【PCB廃棄物の処理費用の目安】

 

  • 高圧トランス(重量400kg) :約180万円
  • 高圧コンデンサー(重量60kg) :約80万円
  • PCB廃油 :3000円×重量(kg)
  • 安定器、小型電気部品 :1800円×重量(kg)

 

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