不動産の収支計画
不動産投資戦略が立てれば、次はキャッシュフロー(CF)表を作成していきます。近年では、不動産を賃貸することで得られるキャッシュフローと、投資家やSPCのキャッシュフローの2段階に分けて構成するのが主流となっています。
第一段階では、不動産の賃貸による収入から、維持管理費用を控除した純利益(NOI)を求めて、続いて資本的支出(CAPEX:会計上資産計上する修繕費などの支出)を控除したネットキャッシュフロー(NCF)を求めます。
第2段階では、物件が生み出したキャッシュフローから、ローン金利や事務経費などを控除して投資家のキャッシュフローを求めていきます。
賃料・コストの妥当性の検討
キャッシュフローでは、賃料収入や管理経費の推移が正しく反映されているかに注意しなければなりません。不動産の取得時における現状把握が必要となります。
契約更新時に賃料の引き下げを要求してくるテナントも考慮しなければいけませんし、テナントの入れ替わりによって純利益が大幅に減少するリスクも存在します。
また、管理コストも見直していかなければなりません。収益の中身がマーケットの水準と大きくかけ離れている場合には、将来的には水準に近づけていくと考えていきます。
キャッシュフローの変動に基づくリスクの対応
続いては、投資期間中のキャッシュフローが自分の立てた投資戦略に合っているかをチェックします。ここで稼働率の引き上げを策定したり、改装やリニューアルの構想も練っていきます。この際には、建物に関するエンジニアリング・レポートを専門化に作成してもらうと、予測も正確にできます。
しかし、どれほど収支計画を策定していても、賃料やコストの想定外の変動は避けられません。収支が悪化した場合に備えて、資金繰りには余裕を持たせることが必要になってきます。
将来のキャッシュフローに基づくリスクは、投資期間を短くすることである程度は限定することができます。投資期間が長くなればなるほど、賃料変動による想定との差は大きくなってきます。ただし、リスクが少なくなるという反面、入ってくるリターンも限定されることになります。不動産投資の本来の特徴である、安定的な賃貸収入による利益の恩恵は十分に受けられません。
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