現物投資と証券化投資の違い

現物投資と証券化投資

不動産投資には、「現物投資」と「証券化投資」の2つがあります。現物投資は従来からの不動産投資の方法で、名前の通りに不動産の現物(土地・建物)を購入して、自己の所有物として運用する投資方法のことをいいます。個人で投資用のマンションを取得する場合などでこの方法がとられます。

 

 

一方の証券化投資とは、投資用のストラクチャー(しくみ)を組んで、SPCを通じて不動産を購入し、SPCが不動産を取得するための資金は、自らが投資家となって出資する方法のことをいいます。日本では、2000年頃から証券化投資を試みる動きが急速に広がりました。

 

  • SPC・・・Special Purpose Companyの略で、特別目的会社のこと。不動産の証券化において、限定された目的のために設立される便宜上の会社。

 

リスクを軽減できる証券化投資

 

現物投資のメリットには、しくみが非常にシンプルであること、管理・運用は自分の裁量で行えるので、管理方法の変更や売却があった際は、比較的柔軟に対処することができるという点があります。ただし、法人が融資を受けて投資した場合は、不動産に対応する資産や負債がバランスシートに計上されるため、資産効率が悪くなるというデメリットがあります。

 

 

証券化投資のメリットには、ノンリコースローン(返済原資を特定の不動産からのキャッシュフローに限定する融資)や社債などの多様な資金調達が可能となり、投資効率が高くなる点や、オフバランス(バランスシートに計上しないこと)による不動産投資が可能となる点があります。証券化投資は、リスクのある不動産投資を円滑に行うために開発された手法なので、ある程度のリスクは軽減できるようなしくみになっているのです。

 

 

ただし、証券化投資にもデメリットが存在します。複雑なストラクチャーを組成するためにはコストがかかるため、小規模の投資の場合では、収益性が悪くなる傾向があります。また、管理・運用・売却をあらかじめ決めてしまうことが多いため、後から自由に変更できないという欠点もあります。投資家自らがアセットマネージャー(AM:SPCに代わって不動産の管理・運用・処分を行う権限を与えられている人)になることにより、自由に管理をすることは可能になります。

 

 

現物投資と証券化投資の相違点は以下のようにまとめることができます。それぞれメリット・デメリットがありますが、リスクに関する事項はほぼ共通しています。

 

■現物投資

 

特徴

自己の名義で不動産を取得

メリット

しくみがシンプル、管理・運用は自己の裁量

デメリット

融資を受けて購入した場合、バランスシートの負債が増える

 

■証券化投資

 

特徴

SPCの名義で不動産を取得し、SPCに対して出資

メリット

資金調達が多様、オフバランスによる不動産融資が可能

デメリット

組成コストがかかる、管理・運用の裁量に制約がある

 

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