信用取引での配当金・株主優待の扱い
信用買いをしている場合
現物取引で株を買っている場合は、そのまま株主名簿に名前が載ります。では、信用取引で買った場合はどのようになるのでしょうか。
株を買ってはいますが、買った代金は借りている状態です。後から現引きをして買った代金を払い、株を保有していれば株主となれます。
株主の権利が確定する「権利付き最終日」をまたいで信用買いをしていた場合は、株主の権利が与えられます。正確には、権利付き最終日の時点で株主名簿に載っているのは、お金を貸した証券会社(証券金融会社)なので、もらえるのは「配当金相当額」になります。
配当金がもらえる時期は、現物株と同じ決算期末日の3ヶ月後であり、配当金相当額が証券会社の口座に振り込まれることになります。
なお、株主優待については、権利付き最終日をまたいで信用買いをしてももらうことはできないので注意です。
信用売りをしている場合
一方、権利付き最終日をまたいで信用売りをしている場合、人から借りた株券を売ってしまったという立場にあります。この株の現物を買った人は株主名簿に名前が載るので、配当金はもらえますが、信用売りする人に株券を貸した人は、売られた時点で株主の権利がもらえなくなってしまうという事態になってしまいます。
そこで、権利付き最終日をまたいで信用売りした人は、配当金相当額を支払うことになっているのです。建玉(まだ返済していない株)を返済するとき、他の代金と一緒に予想されている配当金額を清算するという具合です。
なお、実際の配当金額が確定するのは株主総会の後になるため、すでに支払った配当金相当額と実際の配当金額に差があれば、差額は証券会社の口座内でやり取りされます。
- 名義書換料・・・権利付き最終日をまたぐ信用取引によって株を買い付けている場合に、証券金融会社が顧客から預かっている株券の名義書換の手続きにかかるコストのこと。
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