信用買いで取引するには
信用買いにかかるコスト
信用買いを利用する際は、発生するコストを計算することが重要です。売買手数料と金利が出ていくので、最終的な利益も変わってくるからです。
例えば、委託保証金200万円(委託保証金率30%)で、1000円の株を2000株信用取引で購入するとします。購入費用は証券会社から借りることになります。
10日後、この株が値上がりして1080円で売付けたとします。このときの約定代金は1080円×2000株の216万円となります。この16万円が利益になるとお考えの方もいると思いますが、ここからいくつか差し引かれるものがあります。
借りたお金に対しては、借りていた日数分の金利がかかります。仮に金利を年2%とした場合、1日あたり200万円×2%÷365日=109円かかります。10日で1090円になるので、最終的な利益は、16万円から金利分の1090円を差し引き、さらに往復の売買委託手数料を引いた額となります。
利益が出たときは口座に振り込まれ、損失の場合は口座から引かれることになります。
反対売買と現引き
信用取引(先物取引)で、証券会社から借りた資金や株券を返済する方法を「反対売買」といいます。
買付けを行っている場合には、担保として証券会社が持っている買付株券を売却して、現金化して決済します。
売付けを行っている場合には、証券会社が担保として持っている売却代金によって、株を市場で買い戻すという方法がとられます。
また、信用取引で買った株を、買ったときの代金を支払うことによって、現物株を引き取る方法を「現引き」といいます。
a
現物取引と信用取引の「買い」の使い分け
信用取引でも現物取引でも株が買える場合には、どちらの方法で買うのがいいのでしょうか。
現物取引と違って信用取引では、返済するまでの日数分の金利がかかるので、長期間株を保有するのであれば、現物取引のほうがコストが低くなります。
ただし、現物取引のほうが売買委託手数料が高いこともあるので、比較的短期で保有する予定ならば、コストを計算してみて有利な条件で取引するのが賢明であるといえます。
例えば、約定代金が100万円、現物取引の売買委託手数料が6000円、信用取引では3000円だったとします。「買って売る」ので手数料はそれぞれ12000円と6000円になります。
金利が2%であるとした場合、取引額100万円に対して1日54円かかることになります。よって、金利分が6000円を超える約3ヶ月間を超えるまでは、信用取引のほうがコストが安くなると判断できます。
信用買いで取引するには関連エントリー
- 制度信用取引と一般信用取引の違いは?
- 信用取引には2つの種類があります。「制度信用取引」と「一般信用取引」と呼ばれるものです。両者の違いを解説しています。
- 信用取引に必要な担保
- 信用取引では、お金や株券を借りることになるので、そのための担保が必要となります。これは「委託保証金」と呼ばれ、最低は30万円となっています。
- 信用取引で取引できる額
- 信用取引に必要な金額は、委託保証金率によって異なっています。いくらまで取引が可能であるかも、計算によってもとめることができます。
- 信用売りの仕組み
- 株価が下がりそうなときに、売って買い戻すという方法がとれるのが信用売りです。信用売りで利益がでる仕組みを解説しています。
- 信用売りと逆日歩のコスト
- 信用売りする人が多くなると、証券金融会社の貸す株が不足してきます。すると、不足した株を借りたレンタル料として「逆日歩」というコストが発生してきます。
- 信用取引での配当金・株主優待の扱い
- 配当金や株主優待などの株主の権利について、信用取引を行う場合にはどうなるのかを解説しています。