テナントによる違反工事のリスク

テナントによる違反工事のリスク

テナント入居の際の内装工事

 

テナントが入居する際(またはテナントの希望があった際)は、内装工事を施していきます。このときに、消防法やその他の法規に違反しないように注意しなければなりません。何も考えずにテナントの希望通りに工事を進めていくと、後から思わぬリスクを背負うことにもなりかねません。

 

 

例えば、以下のような事例が発生してきます。

 

  • 電気容量を無計画にアップした結果、建物の他の設備に負担がかかるようになります。
  • 建物の設計床荷重を超えるような重いものを設置すると、スラブ(床板コンクリート)にダメージを与えます。
  • 部屋を細かく分けすぎると、煙感知器がない部屋ができたり、非常放送が聞こえない部屋ができる場合があります。
  • 壁を安易に貫通させてしまうと、建築基準法上の防火区画に制限に抵触する場合があります。

 

 

法令違反に厳しい目

 

以前は、違法改造に対しては多少大目に見る風潮がありましたが、現在では投資家を裏切ることになる法令違反には厳しい目が向けられています。

 

 

法令違反があった場合は、信託受託が拒否されたり、ローンが借りられなくなることがあります。また、売却する際にも買い主の見方が厳しくなり、売却価格が大きく下がるリスクが発生してきます。

 

 

資産価値維持のための内装工事チェック事項

 

 

「基本的事項」

  • 図面や資料がそろっているか
  • 館内規則に違反していないか
  • 他のテナントとの関係で問題ないか
  • テナント退去時に原状回復に支障はないか
  • 建築基準法や関連法令に違反しないか
  • 共用部への影響はないか
  • 工事の際の防火管理は万全か
  • 躯体に関わる工事の際、構造上に問題がないか
  • 電気容量などの既存設備に問題が出ないか
  • 重量物の設置が構造上問題ないか
  • 材料や機器の搬入方法、経路は問題ないか
  • 建物の美観を損なわないか
  • 工事実施の日時が、近隣や他のテナントに迷惑がかからないか
  • 官公庁への必要な届出はなされているか
  • 給水やガスなどの増設は必要ないか

 

「間仕切り変更に関係する事項」

  • 間仕切りによって、空調のバランスが崩れないか
  • 間仕切りによって、ビルの保守・管理・点検に支障がないか
  • 排煙の問題は発生しないか
  • セキュリティの未警戒部分が生じないか
  • 感知器やスプリンクラーの配置に問題はないか
  • 照明器具の配置に問題はないか

 

プロパティマネージャーを通じてしっかり管理

 

テナントの内装工事は、賃貸借契約で貸主の承諾が必要と定められていますが、貸主自らが工事内容をチェックすることはほとんどありません。現在では、プロパティマネージャー(PM)が代行するのが一般的です。PMは、テナントの工事計画について、技術・安全・法律などの各観点から厳重にチェックして、工事が円滑に進むように調整していきます。

 

 

後になって不動産の価値を損なわないようにするためには、貸主がPMに対して意向を正確に伝えて、厳格に管理していかなければなりません。管理はPMに任せきりにするのではなく、逐次報告を受けることも大切です。

 

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