物理的減価のリスク
建物はずっと新しいままではなく、年月が経つごとにどんどん古くなっていきます。これを経年劣化と呼びますが、このリスクに関しては、建物の専門家による調査やエンジニアリング・レポートなどによって、修繕に必要な費用を予測することができます。
価値下落リスクを回避していくためには、日ごろの保守修繕が重要になります。
ただし、実際に保守修繕をしていく場合、計画通りに見積もった費用以上がかかってしまうこともあります。大規模な修繕をしようとした際には、積立金が足りずに追加で費用負担が発生する可能性もあるでしょう。
この予想の限界からくるリスクについては、残念ながら根本的な対策はありません。ある程度の余剰資金を計画的に積み立てて、予想外の事態に備えていくことで対応しましょう。
偶発的な物理的損傷
収益ビルに投資する場合には、キャッシュフロー表に基づいた収支計画に沿って購入価格を決定していきます。このときの費用項目には、建物の修繕費用が考慮されています。
この修繕費用は、建物の経年劣化に関してのものなので、経年劣化を超える予想外の物理的損傷については、通常は考慮されていません。
物理的損傷には、地震、火災、風水害、落雷などによる自然災害による損傷と、手抜き工事、構造計算書の偽造、放火などによる人為的原因による損傷などがあります。
これらの物理的損傷は想定外のケースが多いため、あらかじめ時期や費用を見積もることは非常に困難です。このため、もし物理的損傷が発生した場合、予期せぬ出費により不動産収支にマイナスを与える可能性が出てきます。
放置しておけば、建物自体の価値も下がってしまうため、なんらかの対処を行う必要が出てきます。
物理的損傷への対処法
まず、地震による損傷が心配な場合には、建物が新耐震基準で設計されたものであるかどうかを確認していきます。旧耐震設計のビルの場合、耐震補強工事をして対応していきます。→耐震性によるリスク
火災による損傷については、ビルが耐火性に優れているかを確認して、防耐火補強をして対応していきましょう。
人為的原因による損傷については、瑕疵担保責任を負うことのできるゼネコンの物件に投資していくようにします。構造計算書の開示請求に積極的に応じてくれる施工会社を選ぶようにしていきます。専門家による建物診断で、劣化状況を判断していくのも有効となります。
放火については、燃えやすいものを近くに放置しないなどの対策しかありません。人為的原因による損傷も完全に防ぐことは難しいので、事故が起きないための予防措置を講じていくことが重要となります。
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